繰り返すセコイズム。

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アジアンドキュメンタリーズで見る「香港」、そして「メイド・イン・ホンコン」

新宿のK'sシネマでは、東京ドキュメンタリー映画祭が開催されている(2020年12月5日~12月11日)。今日は特別上映の「香港クライシス」の2本の作品、關震海(カイ・シンカイ)監督の『中大防衛戦』と、堀潤監督の『STAND WITH HK』を見ることができた。

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とくに『中大防衛戦』は、2019年11月の中文大学での学生たちと香港警察の衝突の最前線を追いかけ、攻防戦の舞台裏的な緊迫感にあふれていて見ごたえがあった。攻防の最中、前線の学生側も統率が取れていたとは言いがたく、その混乱も含めての生々しさがあった。

と、前置きはここまでで、私が定額制で視聴しているアジアンドキュメンタリーズでも、香港の市民デモに関する作品を見ることができる。

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『乱世備忘』は2014年の雨傘運動を追いかけた映像。2019年の香港デモを経た今、この作品を見ると、なんと平和的な空気なんだろうかと隔世の感を強めざるをえない。まるでピクニックにでも行くような雰囲気で、デモに参加している市民の顔にも笑顔がある。警察も、物々しい装いではなく、「顔の見える」警官の姿だ。正直なことを言うと、見ていて欠伸が出てしまったのだった。

そして『香港革命2019』。こちらは『中大防衛戦』にもつながるような、主に前線で体を張って戦う「勇武派」の姿をとらえた作品。同じ市民デモでも、たったの5年でこうも様相を変えてしまうとは…。香港の若者らをじわじわと追いつめてきた、中国共産党の影響の大きさを感じないではいられない。

そして今、1997年の1本の香港映画『メイド・イン・ホンコン(香港製造)』(フルーツ・チャン監督)を思い出す。中国返還直前の香港を舞台にしたこの映画は、行き場をなくした若者らが悲劇的な最期を迎える。

サム・リー演じる主人公の「今俺たちは幸せだ。未知の世界に来たから。そこに恐怖はない」という最後のモノローグの「恐怖」とは何だったのか。彼自身が「香港」の暗喩だったのか。公開から20数年後を経た今、1997年の迫りくる中国を目の前にしたこの映画を見ると、これまた胸に突き刺さるものがある。私の考えすぎだろうか。すべては杞憂にすぎないのだと思いたい。