繰り返すセコイズム。

せこくつつましく、セコ充を目指してセコ活をしています。

Amazonプライムでアジア映画(14)メイド・イン・ホンコン(香港)

アジア映画が好きである。Amazonプライムの特典には、香港(主にアクション)や韓国の映画はいろいろあるけれど、他の地域のアジア映画をどのくらい見ることができるのか、これはできるだけ外出を避けつつ、セコ充を目指してセコ活しがいのあるテーマである(※2020年7月時点のAmazonプライム特典視聴情報です)。

つい先日、中国では国家安全法が成立し、一国二制度も形骸化して、自由独立の空気がさらに後退することが懸念される香港。懸念というか、ほぼ確実だろう。嗚呼、香港…。

そして今、約20年前に公開された、中国返還が迫る香港を舞台に作られたこの映画を見ると、胸に迫るものがある。この映画は、借金取りでその日暮らしのような生活の若者と、病で死期が迫る少女の恋愛以上のものを感じさせる心の交流を軸に、ストーリーは展開される。そして、そこに描かれる香港は、住居は狭く、満足な仕事も得られないという、底辺暮らしの街の姿だ。

しかし、中国返還後、香港の若者を取り巻く経済状況はますます悪化し、狭くて家賃も高い深刻な住居問題は有名だし、中国本土出身者が香港に流れ込んでくることによって、香港の若者らの食い扶持も失われ、香港で大学を卒業しても仕事がなかったり、低賃金であるという。働いても働いてもマイホームは夢のまた夢だ。2019年から続く香港のデモ活動は、自由独立を失われるという危機感だけではなく、こうした長年の経済状況の悪化への不満が底流としてあったわけで、そこへ逃亡犯条例改正案が持ち上がったものだから、それは抗議活動として爆発するトリガーを果たしたのは必然だった。

若者らの息苦しい閉塞感を描いた『メイド・イン・ホンコン』は、2020年のまさに今見ると、とても予見的であり、鮮烈さも失われていない作品なのだった。

(また見たい度(★1~5) ★★★★★)


映画『メイド・イン・ホンコン/香港製造』予告編