繰り返すセコイズム。

せこくつつましく、セコ充を目指してセコ活をしています。

Amazonプライムでアジア映画(7)青いパパイヤの香り(フランス=ベトナム)

アジア映画が好きである。Amazonプライムの特典には、香港(主にアクション)や韓国の映画はいろいろあるけれど、他の地域のアジア映画をどのくらい見ることができるのか、これはできるだけ外出を避けつつ、セコ充を目指してセコ活しがいのあるテーマである (※2020年6月時点のAmazonプライム特典視聴情報です)。

さて。フランスとベトナムの共同制作のトラン・アン・ユン監督の『青いパパイヤの香り』(1993年)。かつて映画館で見たときに、上映中に心地良い眠りに包まれてしまったのは、今となっては良い思い出である。

セリフは極力排され、人物の表情で感情を表現し、そこに細やかな画作りにこだわった映像の美しさが加わる。カンヌで「カメラドール賞」をもらうわけだが、なるほど、カンヌで受けそうなアート作品に仕上がっている。  

青いパパイヤの香り(字幕版)

青いパパイヤの香り(字幕版)

  • メディア: Prime Video
 

 舞台は1951年のサイゴン(現ホー・チ・ミン)。10歳の少女ムイは奉公に出される。優しい奥様、気難しい大奥様、悪戯な子供たち、先輩奉公人は頼りがいのある婆さん。唯一、ミステリアスな存在は、旦那さま。楽器を奏でるだけの、生きているのか死んでいるのか分からないような、無為の日々。時々ふらっと姿を消して数日家には戻らず、また何事もなかったかのようにふらりと戻ってくる。一見幸せそうに見える裕福な家庭の隠された秘密や不幸を覗き見ることが、少女ムイの楽しみだった…というような、「家政婦が見た」のような事件は、残念ながら、起こらない。

そして、美しく成人したムイは、奉公先からお暇を出され、長男の友人クェンさん宅に奉公することとなる。ムイが少女時代から憧れていたクェンさんだ。よく働く美人の家政婦さんが住み込みでやって来るだなんて、それって「逃げ恥」のガッキーなのか…というような、男たちが妄想し夢を見る展開は、残念ながら、起こらない。と思いきや、モテ男のクェンさんはひそかにムイを想い、婚約者と別れ、ムイと結ばれるのだった。一種のシンデレラストーリーでもある。

ムイの少女時代と大人時代で、1本で二度楽しめる映画なのだった。

(また見たい度(★1~5) ★★)

 
『青いパパイヤの香り』予告編