繰り返すセコイズム。

せこくつつましく、セコ充を目指してセコ活をしています。

Amazonプライムでアジア映画(5)恋恋風塵(台湾)

アジア映画が好きである。Amazonプライムの特典には、香港(主にアクション)や韓国の映画はいろいろあるけれど、他の地域のアジア映画をどのくらい見ることができるのか、これは外出自粛を実行しつつ、セコ充を目指してセコ活しがいのあるテーマである。(※2020年5月時点のAmazonプライム特典視聴情報です)

 

ということで、台湾の侯孝賢ホウ・シャオシェン)監督の『恋恋風塵』(1987年)を見る。ずいぶん前に劇場で見て以来、ものすごく久しぶりだ。今でも台湾映画特集があれば、そのたびに必ず上映されるであろう、台湾映画史には外せない作品。

1960年代の炭鉱のある山村で幼馴染のように育った若い男女が、台北に働きに出てきて、お互いのことを意識し始め、しかしそれは結ばれることなく、静かに終わる。大きな出来事が起こるわけでもないが、青春映画、失恋映画としてみても、胸に沁みる映像だ。

私は、台湾で話されている華語が聞き取れたり話せたりするわけではないが、映画の中で話されている言葉は、台湾に行ったときに耳にしていたような台湾華語の響きではないことは、なんとなく分かる(閩南語という方言の一種)。

田舎の炭鉱町と台北という都市、公用語である台湾華語と方言の閩南語…などなど、映画の中には、中央と地方という対比が描かれ、たんなる青春映画の枠に収まらない、とても社会的な映画である。逆をいえば、映画の舞台となった当時の社会状況、そして、映画が作られた当時の社会状況(1987年は戒厳令解除の年でもある!)を、純粋な青春映画として昇華させた侯孝賢の手腕は、本当に素晴らしい。あらためて、この『恋恋風塵』が好きになった。

(また見たい度(★1~5) ★★★★★)


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