繰り返すセコイズム。

せこくつつましく、セコ充を目指してセコ活をしています。

農業革命は三つの密の誕生だった件

もうかれこれ2ヶ月、図書館も閉鎖されたままなので本を借りることもできず、書店にも足を運んでいないので本を買っていない。買ったまま未読だった本を読み続ける一方で、再読ということもしている。

今、再読しているのは、ここであらためて紹介するまでもないくらいに話題となった『サピエンス全史』である。2017年のベストセラーだから、あれからそれなりに時間が経ったものだ。

『サピエンス全史』の面白いところは、私たちホモ・サピエンスの歴史を俯瞰的に眺めながら、たとえば1万数千年前のサピエンスの話をしているのに、現代の我々にもそのまま置き換えることができる部分があって、本質的には何も変わっていないんだよ…と思わせるような切り口で語ってくれることである。それは、警告的な要素も含んだ示唆に富んでいる。 

狩猟社会から農耕社会への転換点(農業革命)となるところでは、

古代の狩猟採集民は、感染症の被害も少なかった。(略)農耕社会や工業社会を苦しめてきた感染症のほとんどは家畜に由来し、農業革命以降になって初めて人類も感染し始めた。犬しか飼い慣らしていなかった古代の狩猟採集民は、そうした疫病を免れた。また、農耕社会や工業社会の人の大多数は、人口が密集した不潔な永続的定住地で暮らしていた。病気にとって、まさに理想の温床だ。一方、狩猟採集民は小さな集団で動き回っていたので、感染症は蔓延のしようがなかった。

まさに、密閉、密集、密着の三密状態である。人類は様々な感染症と戦ってきたわけだけれど、新型コロナウイルスが蔓延した現在、あらためて読むと、1万2000年前も現在も本質的に変わりがないんだな…と思わずにいられない。もっとも、新型コロナウイルスの出自については諸説取り上げられているけれど、蔓延ということにフォーカスすれば、やっぱり、本質は何ら変わっていないのかもしれない。今回、新型コロナを抑え込むことができたとしても、また何十年、何百年後にも、新たな感染症との戦いを繰り返すのだろう。