繰り返すセコイズム。

せこくつつましく、セコ充を目指してセコ活をしています。

「新しい生活様式」の下での美術鑑賞

6月以降、美術館が再開するにともなって、日時指定予約制を導入するところが目立つようになった。私が足を運んだところだけでも、3館が日時指定制だった。これはこれで、ゆったり見ることができるといったような良いところも多い。しかし一方で、3館ともにネットでの手続きだったのだが、3館が3館とも決済や発券に利用するサービスが異なり、いちいち休眠していたIDのパスワードを再登録したり、新規でユーザー登録したり、コンビニに発券に行ったり、「いちいち面倒くさいなあ」と思ったのも事実である。
というわけで、今回、日時指定予約を利用した3つの美術展を比較してみることにしよう。

 

◎良い 「古典x現代2020 時空を超える日本のアート」(新国立美術館

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 ・2020年8月24日(月)まで
・イーティックス https://etix.co.jp/ で予約。会員登録の必要もなし。
・発券の必要はなく、購入後に返信される確認メール内のリンクからQRコードを表示、スマホで非接触で入場可能。
・手数料は無し。
・すでに前売りチケットや招待券を持っている人のために「0円」の時間指定も用意されているのが◎。

▲普通 「神田日勝 大地への筆触」(東京ステーションギャラリー

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・会期終了
ローソンチケットで予約。
・ローソン店舗のLoppiで発券
・発券手数料は無し。
JR東日本株主優待東京ステーションギャラリー招待)は不可。

×駄目 「ピーター・ドイグ展」(東京国立近代美術館

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・2020年10月11日(日)まで
・チケットぴあのWEBサイト、またはセブンイレブンの端末から購入。
・チケットぴあで購入後、発券のためにCloakというサイトに遷移して、さらにひと手間必要。
セブンイレブンの店舗で発券。
・おまけに、ぴあならではの発券手数料を徴収される。
・前売りチケット購入済み、あるいは招待券を持っている人は事前予約が不可。ただし「原則いつでも入場できるが、会場の混雑状況次しだいでは入場できない」という雑な扱い。

 

ピーター・ドイグ展の駄目さ…というか、チケットぴあの駄目さが際立ち、イーティックスの手軽さが飛びぬけて良いという結果だった。
こうやって考えていくと、ネットで予約をするという手続きは、今まで「普通に」美術館に足を運ぶことができていた人たちを振るい落としているのではないだろうか、とちょっと心配になった。
チケット販売サイトへの会員登録、クレジットカードの登録、コンビニでの端末の操作…などなど、ネットやスマホの使い方に慣れていなかったり、コンビニの端末の操作に手間取ったり、クレジットカードを持っていなかったり、ハードルが多いような気がする。少なくとも、私の母親がひとりで美術館に行こうと思っても、これらの美術館で画を観ることは絶対に無理であると断言できる。今までは、美術館の窓口にいって現金を払えば、誰でも画を観ることができたのに。
「新しい生活様式」とやらは、ある人たちにとっては優しくない「様式」も含んでいることを、美術館の日時指定予約制を通して考えざるをえなかった。