繰り返すセコイズム。

せこくつつましく、セコ充を目指してセコ活をしています。

Amazonプライムでアジア映画(4)オマールの壁(パレスチナ)

Amazonプライムでアジア映画を見るのであれば、中国、香港、韓国あたりの作品を探せばいろいろ出てくるのであるが、ここはちょっと趣向を変えて、他の国に検索の範囲を広げてみることにしたのである。Amazonプライムの特典の中で、どれだけアジア映画を見ることができるのだろう。これこそ、ステイホームを具現化しつつ、セコ充を目指してセコ活しがいのあるテーマである。

前回『パラダイス・ナウ』に引き続き、ハニ・アブ・アサド監督によるパレスチナを舞台にした映画『オマールの壁』(2013)を視聴。(※2020年5月時点のAmazonプライム特典視聴情報です) 

本当は、もっと気楽なコメディーやロマンスや格闘ものを見ながら、お気楽な気持ちでブログに書きつけたいという思いで「Amazonプライムでアジア映画を」という記事を始めたのである。しかし、前回今回と、選択した映画のおかげで、私の気分が深刻で神妙なものになってきてしまったことに愕然としている。なんという外出自粛生活だろうか。

オマールの壁

オマールの壁

  • 発売日: 2017/03/03
  • メディア: Prime Video
 

 映画の冒頭、主人公が巨大な壁を乗り越えるシーンから始まるのだが、いったいこの巨大な壁は何なんだろうと思って調べたら、ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区イスラエルを隔てるための「分離壁」と呼ばれる壁なのだった。イスラエル側が建設を進めるこの壁によって、イスラエルは自国内で起こる自爆テロ実行犯の侵入を未然に防ぐことができるようになったと訴えているが、パレスチナ側にしてみれば、刑務所のように閉じ込められたも同然で、また、イスラエル側に取り残されたパレスチナ人との行き来を困難なものにした。世界を見渡せば、まだまだ知らないことが多い。映画を見ることは、それを知るきっかけを与えてくれる。

映画は、パン屋の青年が危険をかえりみずに分離壁を乗り越えて恋人に会いに行くという純粋なラブストーリーなのかと思いきや、幼馴染の仲間らとイスラエル兵を襲撃したことに端を発して、彼らの関係がだんだん変わっていき、悲しい結末に向かっていく。仲間と恋人の禁断の裏切り行為、そこにつけ込むイスラエル側の捜査官…『パラダイス・ナウ』は自爆テロに向かう青年ふたりを描いてイスラエルパレスチナの分断を主眼にしていたが、『オマールの壁』ではパレスチナ人同士の分断を描く。こうなるともう、彼らには破滅的な最後しか用意されていないのだった。

(また見たい度(★1~5) ★★★★)


映画『オマールの壁』予告編