繰り返すセコイズム。

せこくつつましく、セコ充を目指してセコ活をしています。

Amazonプライムでアジア映画(16)草原に黄色い花を見つける(ベトナム)

アジア映画が好きである。Amazonプライムの特典には、香港(主にアクション)や韓国の映画はいろいろあるけれど、他の地域のアジア映画をどのくらい見ることができるのか、これはできるだけ外出を避けつつ、セコ充を目指してセコ活しがいのあるテーマである(※2020年7月時点のAmazonプライム特典視聴情報です)。

 ベトナムでも大ヒットしたという『草原に黄色い花を見つける』。舞台は1989年のベトナムの農村。素朴で青々とした風景の中での、きゅんとするような初恋映画である。こういう映画は、国の違いに関係なく、分かりやすく共感が出来て良い。日本でも、もっと年配の方たち…地方の農村風景が素朴だった頃に育った人は、より共感を強めるんじゃなかろうか。

草原に黄色い花を見つける(字幕版)

草原に黄色い花を見つける(字幕版)

  • 発売日: 2019/12/21
  • メディア: Prime Video
 

ティエウとトゥオンはとても仲が良い兄弟。思春期を迎える兄ティエウは、同級生の少女ムーンが気になって気になって仕方がない。そんな中、水害やら火事などの不幸が重なって、ムーンが兄弟の家に身を寄せることになる。

弟トゥオンは、お姫様が現れて自分が王子様になることを夢見るような純粋無垢さと、優しさと利発さを兼ね備えた出来の良い弟である。それに比べて、兄のティエウが特別ダメというわけではないのだが、戦争ごっこの真似ごとをしては降参のふりをしてからの不意打ちで弟に怪我をさせたり、挙句には、トゥオンとムーンの仲の良さに嫉妬して、ままごとをしている二人が自分に内緒で鶏肉を食べていると勘違いをし、トゥオンを太い木でぶん殴って歩行不能という大怪我をさせてしまう。そんな兄が両親に叱られてはいけないと、トゥオンは「叩いたと言わないで、木から落ちたと言って」と兄をかばうのである。トゥオンの優しさたるや、私が少女ムーンなら、トゥオンに惚れてしまうだろう。(ティエウの名誉のために言っておくならば、ちょっとそそっかしくて頼りなさはあるものの、本当は弟にはとても優しい兄であり、トゥオンはティエウの懸命な看病やサポートもあって、回復しました…)
と、まあ、そんな感じで、「おいおい、お兄ちゃん、もっとしっかりしてくれよ!」というもどかしさを感じさせつつ、美しい田園風景の映像も重なって、清々しい後味を残してくれる佳作なのだった。

 (また見たい度(★1~5) ★★★★) 


「草原に黄色い花を見つける」予告編

 

Amazonプライムでアジア映画(15)漂うがごとく(ベトナム)

アジア映画が好きである。Amazonプライムの特典には、香港(主にアクション)や韓国の映画はいろいろあるけれど、他の地域のアジア映画をどのくらい見ることができるのか、これはできるだけ外出を避けつつ、セコ充を目指してセコ活しがいのあるテーマである(※2020年7月時点のAmazonプライム特典視聴情報です)。

ベトナム映画から『漂うがごとく』。トラン・アン・ユンを想起させるような、アート色が強め映画である。暗めの映像は『シクロ』を、よけいな音を排した静けさは『青いパパイヤの香り』を思い出す。

漂うがごとく(字幕版)

漂うがごとく(字幕版)

  • 発売日: 2019/12/21
  • メディア: Prime Video
 

 ハノイで旅行ガイドとして働くズエンは、タクシードライバーをしている年下のハイと出会って三ヶ月で結婚。ハイは新婚なのにズエンにも手を触れようとしない。ズエンは、そんなハイに物足りなさを感じている。ある日、ズエンは親友のカムという女性から、トーという男のところに手紙を届けるように頼まれる。すると、トーにいきなり襲われてキスをされたりしてしまう。いきなり襲いかかるトーもトーだが、トーを紹介したカムという女は何かが起こるということを知っての確信犯だったろうし、ズエンも新婚の旦那とはまったくタイプの違うワイルドなトーに惹かれていってしまう。ハイも相変わらず美人な年上女房には手を触れないし、近所の女の子とドライブに行ったりお風呂を貸してあげたり(いやらしい意味ではないが)、なんだかもう、ちょっと壊れた人たちのオンパレードである。
ただの雰囲気映画なのか?それとも上質なアート作品なのか?…というせめぎ合いに陥ってしまった時点で、私はこの映画が好みではないのかもしれない。好みの問題と言ってしまうと、身も蓋もないけれど。

 (また見たい度(★1~5) ★)


漂うがごとく

Amazonプライムでアジア映画(14)メイド・イン・ホンコン(香港)

アジア映画が好きである。Amazonプライムの特典には、香港(主にアクション)や韓国の映画はいろいろあるけれど、他の地域のアジア映画をどのくらい見ることができるのか、これはできるだけ外出を避けつつ、セコ充を目指してセコ活しがいのあるテーマである(※2020年7月時点のAmazonプライム特典視聴情報です)。

つい先日、中国では国家安全法が成立し、一国二制度も形骸化して、自由独立の空気がさらに後退することが懸念される香港。懸念というか、ほぼ確実だろう。嗚呼、香港…。

そして今、約20年前に公開された、中国返還が迫る香港を舞台に作られたこの映画を見ると、胸に迫るものがある。この映画は、借金取りでその日暮らしのような生活の若者と、病で死期が迫る少女の恋愛以上のものを感じさせる心の交流を軸に、ストーリーは展開される。そして、そこに描かれる香港は、住居は狭く、満足な仕事も得られないという、底辺暮らしの街の姿だ。

しかし、中国返還後、香港の若者を取り巻く経済状況はますます悪化し、狭くて家賃も高い深刻な住居問題は有名だし、中国本土出身者が香港に流れ込んでくることによって、香港の若者らの食い扶持も失われ、香港で大学を卒業しても仕事がなかったり、低賃金であるという。働いても働いてもマイホームは夢のまた夢だ。2019年から続く香港のデモ活動は、自由独立を失われるという危機感だけではなく、こうした長年の経済状況の悪化への不満が底流としてあったわけで、そこへ逃亡犯条例改正案が持ち上がったものだから、それは抗議活動として爆発するトリガーを果たしたのは必然だった。

若者らの息苦しい閉塞感を描いた『メイド・イン・ホンコン』は、2020年のまさに今見ると、とても予見的であり、鮮烈さも失われていない作品なのだった。

(また見たい度(★1~5) ★★★★★)


映画『メイド・イン・ホンコン/香港製造』予告編

 

Amazonプライムでアジア映画(13)ピザ!(インド)

アジア映画が好きである。Amazonプライムの特典には、香港(主にアクション)や韓国の映画はいろいろあるけれど、他の地域のアジア映画をどのくらい見ることができるのか、これはできるだけ外出を避けつつ、セコ充を目指してセコ活しがいのあるテーマである(※2020年7月時点のAmazonプライム特典視聴情報です)。

今日はいよいよインド映画である。ついに来たか、インド映画。インド映画というと、物語の途中に歌とダンスが盛り込まれたりとか、やたらに時間が長いとか、いまだにそんな先入観にとらわれている私にとっては、ハードルが高いジャンルだ。しかし、この『ピザ!』という作品は、約90分ですっきりまとめた見やすい作品。 

ピザ!(字幕版)

ピザ!(字幕版)

  • メディア: Prime Video
 

 南インドの都市、チェンナイのスラム街に暮らす兄弟が、近所にできたピザ屋でピザを食べたいと思い、小遣い稼ぎに奔走する。お金をためて、ようやくピザを食べられるかと思ったら、兄弟らは着ている服で「スラムの人間」と判断されてピザ屋には入ることが出来ず、それなら小ぎれいな服を着ればいいんでしょ…と、新しい服を買うものの、やっぱりピザ屋には入れない。入れないどころか、罵られ、叩かれもする。兄弟らの入店を拒否したことでピザ屋は世間から非難され、世間的な評判に気を取られている大人たちは、彼らをピザ屋に招待して、逆に世間に好感度アップのアピールをするわけだが、ピザはあまり美味くないなあ…という皮肉の効いたオチだった。

ピザを食べるために奮闘する兄弟のほのぼとした物語と思って見ていたら、途中からはインドならではのカースト格差社会の話に転換し、社会的な問題をオブラートに包みつつ、シンプルに楽しむこともできる娯楽作品に仕上がっていた。

(また見たい度(★1~5) ★★)


ピザ!(予告編)

 

Amazonプライムでアジア映画(12)レディ・アサシン 美人計(ベトナム)

昨日の『ソン・ランの響き』に続いて、連日の下高井戸シネマで連日のベトナム映画『サイゴン・クチュール』を見てきた。そして、ベトナム映画の風を受けた勢い余って、Amazonプライムで『レディ・アサシン 美人計』というB級感あふれるベトナム映画を見てしまったのである。『サイゴン・クチュール』がなかなか楽しかったので、本当はそちらの映画の感想を書きたいという気持ちを今日も我慢しつつ、ここはやっぱりAmazonプライムだ(※2020年6月時点のAmazonプライム特典視聴情報です)。

 

Amazonの作品情報には「宇宙最強の”美しすぎる女暗殺団”が大暴れする痛快お色気アクション!」とある。いよいよ来たか!これだよ、これ!こんなお色気アクション映画を待っていたんだよ!…と思う一方で、冷静な自分が「なんでこんな映画を見てるんだろうなあ」と、今日も囁きかけてくる。このジレンマこそが、B級の醍醐味だ。  

さて、両親を強盗団に殺されたリン・ラン(美人)が、美人すぎる暗殺集団のもとで復讐を果たすために特訓をし…という、ストーリーはどうでもいいような復讐劇で、ワイヤーアクションや格闘シーンを中心に進んでいく。そして、肝心のお色気シーンはどうなんだ!お色気は!と、地団駄を踏みながらお色気シーンを待つものの、スタイルの素敵なおねえさまたちがアクションで美脚を惜しみなく披露する…という程度である。胸元ぼーん!…みたいなものを期待してはいけない。お国柄によって放送コード的なものがあるのかもしれない。いったい自分は何を期待していたのかと、ふっと、我に返る。

そして、ネタバレになってしまうが、復讐劇は一人を残して、敵も味方も全員死亡…という最期を迎える。復讐を果たしたリン・ランだけが生き残り、私の願いもむなしく、美人軍団がまさかの全員死亡である。なかなかびっくりな結末なのだった。 

(また見たい度(★1~5) ★)


『レディ・アサシン 美人計』予告編